第5章 契約
(痛いとこ着くなぁこの人)
『わかってたらさっさと済ませて
帰りますよ
でも肝心なこといっっさい言わずに
飛ばしやがりましたよあいつ』
「なんか口調が荒くなってるような…」
溜息をつきつつあいつの顔を思い出し
イライラが募る
『私の先祖に縁のある私にしか
手伝えないからまぁ、頼むぜって
感じで言われて今に至りますね』
「お前にもよくわかってないことは
よくわかった
時代を操るあやかしなんて
聞いたことねぇけどな」
「そこんとこはこの狐がよく知ってるんじゃ?」
「いいや?
八百年生きてきた中で見たことがない
ましてや聞いたことも」
「封印されてた時に生まれたとか」
「封印されていても外のことくらいは
把握出来る」
『へー、すごい…』
「とにかくお前は住むところもなければ
帰るとこもねぇってことだろ?
逆に幸運じゃねえか」
『この不幸の連続のどこが幸運ですか!』