第20章 不思議なひと~義経side~
あの人と再開する時は
幕府との戦だと思っていた
それなのに──────
「何故ここにいる狐憑き」
『源義経……さま』
は
強ばった表情をしていると思ったら
皮切りに駆け出した
「動くな」
『.........あっ』
逃がす訳にもいかず
腕を強く掴み引き寄せた
「思ったよりも早い再開だ」
『────義経、様』
「気まぐれに参加した戦に、
思わぬ伏兵が潜んでいるとは」
『まさか敵の援軍って
反乱軍の事だったんですか?』
「軍と言えるほどの兵は連れてきていない」
「あなたがいるということは、
幕府がこの戦場に来ているということか」
『──っそれは』
「答えろ」
殺気を込めた瞳で見下ろす
だが彼女は負けじと見つめ返してきた
『────頼朝様ならいませんよ』
「──そうか。
では、大切な切り札を手元から離したことが
頼朝公の失策だ」
『………っ』
刃先を喉元に突き付けられ、
息が止まった
「──俺を恨め、」
(───すまない)
刀を振り落とす
ザクッ
「!?」
振り落とした刀をが
手で直接受け止めた
(な、)
『っ、待ってください!
今、怪我人の手当てをしている最中なんです!』
「──手当て?」
ちらりと自身の刀とそれを握る白い手から
流れる血を見た途端罪悪感が募った
『味方とはぐれて避難した場所に
酷い怪我をした兵がいて……
早く手当てしないと駄目なんです
だから、お願いします
刀をひいてください!』
「───・・・」
真っ直ぐに義経の目を見つめる
が嘘をついているようには
見えない
それとひとつ気になっていることがある
それを確かめてからでも遅くは無い
「──そうか」
カチン、
刀をおさめるとに向き合う
「立て。
俺も怪我人の元へ行こう」
『え?』
「聞こえなかったのか?」
『いえ!ばっちり聞こえてました!』
「では早くしろ
一刻も早く手当てをしなければいけないという
言葉に偽りがないのなら」
『っわかりました!』