第18章 陰陽師助手記録帳弐
(いつもは飄々としてる泰親さんは、
その度に何を思ってきたんだろう)
「君は………」
言葉の先を探すように泰親さんが暫しの間
声を途切れさせた
「──さんが玉藻っちに
気に入られた理由がちょっと分かったよ」
(あ)
白い手が気まぐれのように伸びて、
の頬に触れる
「君の健やかさは魅力的で、同時に危うい
人の悪意ですら、
君は許してしまいそうだから」
(なんでそんな目で私を見るの?)
『私はそんな立派な人間じゃないですよ』
「だといいな」
『え?』
「立派な人だと俺の付け入る隙が
なさかそうだから
邪のある俗物の方が大抵の場合、
扱いやすいよね」
『──付け入る予定、なんですか?』
「そのうちに、覚悟してて?
──だけど願わくば、君にはそのままで
いて欲しい。我ながら矛盾してるけど、
何故かそう思ったよ」
(どうして……)
からかいなのか、本気なのか判断がつかず
頬に熱が集まった
それを見た泰親さんがかすかに声を立てて
笑った