第18章 陰陽師助手記録帳弐
翌朝──────
雀の鳴く声がして目が覚める
この時代には目覚まし時計がないため
起きるのが少し辛かったりする
(せめてスマホが動けば、と思ったけど)
電波がないから動かない
(よし!気合いを入れて
今日も頑張ろう!)
そう張りきって
身支度を整え、部屋から出る
(泰親さんのところに行かないと)
『あ』
「ふわぁ……おはよ、さん」
部屋に行く手前泰親さんが眠そうに
現れた
『おはようございます
寝不足ですか?』
「ちょっと鬼退治してて」
『鬼退治?』
(鬼の気配なんてしたかな?)
寝てる間は熟睡するタイプで
気づかなかったのかもしれない
『それはお疲れ様です?
結界張ってるのに鬼も出るんですね』
「ありがとう
あー、うん
ちょっと厄介でさー」
(泰親さんと話してると
いい意味でも悪い意味でも気が抜けるな)
気を張っていた分、少し脱力しながら
泰親さんと一緒に表へ出た
『それで……
今日はさっそく生霊の行方を追うんですよね?』
「うーん、
気が進まないしそれはあとかなぁ」
『えっ』
(後とかある!?)
絶句する私に構わずに
泰親さんは四つ辻の地面に足で何か
落書きをしている
「ええっと行き先は──」
唐突にひょいと片方のつま先を上げ、
泰親さんが草履を足で放り投げた
(な、何やって……)
そして落ちた草履の元に片足で
跳ねながら向かい、
草履の先に向いた方向にある道を指差した
「あっちだって。さあ行こう」
(そんな子供みたいな決め方でいいの?!)
流石に呆れながら草履に目をやったその時
『あれ?』
泰親さんがつっかけ直した草履が一瞬だけ
ちかっと光った気がした
「さーん!早く早く」