第17章 陰陽師助手記録帳壱
【ぐっ………】
少年のような少女のような
子供が勢いよく両方から
引っ張ったように障子が開け放たれ──
(わっ!)
女性の身体は外へと
投げ飛ばされてしまった
『い、今の子は?』
「式神ちゃんに頼んでみた
普通の人には見えにくいけど
気のいい子だよ
──やっぱりさんには見えるか…」
(しまった……!)
「まあ今はとりあえずいいや
何となく察しはついてる。」
『え?』
「俺は、御所の武士の皆さんみたいに
人間を相手に戦う訳じゃないけど
霊体やあやかし相手だったら
それなりに強いから
頼ってね」
『っ』
少しだけ、いやかなり
泰親さんが頼りになる男性に思えた
泰親さんによって強制的に
吹き飛ばされた生霊を追い、
外に出ると──
(いた……)
【ぐ、が……どうして……
あの人、は憎い…………くやし、い】
(何か言って……)
暗い路地の地面で女性は
もがきていた
(泰親さんの術がよく効いてるみたいだけど)
「ごめんねえ
もう動いていいよ」
【あの人を癒さなきゃ。
癒してあげるの、
あたしが癒して、癒して癒して
癒して癒して癒して癒して癒して癒して…】
虚ろな目の女性が壊れたように
同じことを言い続けながら
地面からぎこちなく身体を起こす
【癒してほしいって言ったのに……!!!】
(っ………)
ごう、と空気が歪み女性の髪が巻あがった
瞬きする間に凄まじい速さで
こちらへと襲いかかってくる
「情熱的だなあ」
泰親さんがそう言い、ひっそりと笑い
二つの人形を宙に放り投げた