第17章 陰陽師助手記録帳壱
無事泰親さんと合流したは
泰親さんの宅、阿部家の家にひとまず
お世話になることになった
『お、お世話になります』
「そんなにかしこまらなくていいよ」
(そうは言っても、すごい結界の数)
さすがは陰陽師の家
あやかし対策もバッチリだ
陰陽師は人間にもあやかしにも
恨みを買いやすい
とはいえ逆恨みがほとんどだが
そのため至る所にくまなく
結界が張り巡らされている
「さて、部屋に案内するね」
『はい!』
ふわり
(あれ?)
ふと立ち止まると
泰親さんが不思議そうに
首を傾げた
「どうかした?」
『あ、いえ、なんでもないです』
(顕仁さんの香りがしたような…?)
さっきまで一緒にいたから
移ったのかな?
と思い深く考えなかった
「何かあったら女中さんに言ってね」
『はい
ありがとうございます泰親さん』
『こんなに綺麗な部屋
用意してもらってたなんて
後でもう一回お礼を言おう』
座布団に座り荷物を整理する
「お前がか?」