第15章 助手
景時さんのお手伝いをしながら
時に頼朝様の側仕えとして仕事をこなし
空いた時間で薬師として活動する日々が
続いていたある日
事件は起こった
『えーと、この書類は
頼朝様に確認してもらって…』
部屋で書類の整理をしていたところ
ゾクッ
(!!)
背中に嫌な予感が走る
『──この気配は……』
ばっと立ち上がる
(玉藻もいるのにどうして!)
部屋から飛び出すように出て
景時さんの小言を言われるとわかっていても
嫌な気配の元へ走った
『っはぁはぁ』
人影の無い庭に黒い煙が立ち込めていた
『っやっぱり……』
(あやかし!!)
人が来ないうちに
追い出さないと
〈オンな……エモの〉
『生憎だけどあなたのご馳走は
ここにはないわよ』
(狐憑きの力応えて!!)
パァァァ!!
(やっぱ、まだこの感覚には慣れない)
呪力を吸うと身体が少しずつ熱くなる
(頼朝様の一件から使ってなかったけど)
〈うがァ!!おまえ、、ナニもノだぁ〉
『──答える必要はないでしょ』