第11章 ピンチ!
『っっ!!』
「女──?」
(っどうしよう
敵?だよね)
扉を開けて出ようとすると
「待て!外は危ねぇ」
『え?』
「なんでこんなところにいるのかは
知らねぇが
迷い込んだなら
ここにいた方がいい」
(この人酷い怪我)
手当しないと手遅れになる
でもこの人は敵……
この人を助けたら
幕府の人がまた傷つけられる
(でも………)
放っておくなんてできない
味方でも敵でもそれが妖だろうが
怪我をしているのだから
助けるべきだ
『あの、手当します』
「あんた薬師かい?」
(薬師……)
『そうです
水はありますか?』
「いや、ここにはねぇ」
『そうですか』
(確かここ近くに川があったような)
『水を汲んでくるので
少しだけ待っててくださいね!』
急いで桶を持って外に出る
(あった!)
血を流した兵と折れた弓矢が沢山転がっていた
(あの人達はもう死んでる)
『早く行かなきゃ』
「なぜここにいる狐憑き」
聞こえるはずのない声が耳に届いた