第6章 私の王子様〈煉獄杏寿郎〉
「そんなことはない。かれんが俺を見てくれるその瞳から…想いはいつも伝わっている」
「…でも、そう思ってるだけじゃ駄目よね。夫婦でもちゃんと伝えることは言葉にして言わないといけないのに…。私杏寿郎に甘えてた。…いつも私を笑わせてくれてありがとう。杏寿郎が大好き。私も愛してるよ。…杏寿郎と結婚できて本当に幸せ」
「かれん…俺が君のその溢れるほどの優しさに、どれだけ癒されていることか。毎日一緒にいても、もっと一緒にいたいと思ってしまうほど、俺は…かれんにかなり惚れ込んでいるようだな」
落とすように愛おしく微笑む杏寿郎の笑顔に、かれんの顔がみるみる赤く染まる。杏寿郎だけでなく、かれん自身も杏寿郎にゾッコンなのだ。
「…っ!…ほんっとに杏寿郎は…っ!王子様みたいにドキドキすることばっかり言って…っ」
「王子だと!?ならばかれんは姫だな!」
「…ひ、姫…??え、王女じゃなくて???」
「うむ!かれんは俺にとっての姫だな!!世界一美しく可憐な姫だ!」
「〜〜〜…。もう杏寿郎には降参です…」
「さ!姫!ケーキをいただくとしよう!」
「!?! もう恥ずかしいから、その呼び方禁止!!」
「む!何故だ!!」
「だ、駄目なものは駄目なのっ!」
杏寿郎は時々こっそりとかれんのことを“姫”と呼び、かれんはそれいつまで経っても慣れることはなかった。
「姫!次に食べたいケーキは何がいいだろうか!」
「〜〜〜…っ、モンブランが食べたいです…」
「うむ!承知した!」
王子様とお姫様は、末永く幸せに暮らしましたとさ。
おしまい 𓂃◌𓈒𓐍