第18章 涙を拭いたら〈煉獄杏寿郎 / 竈門炭治郎〉
「炭治郎はお利口さんね。一緒に杏寿郎の帰りを待っていようね」
「うんっ!」
杏寿郎は炭治郎の優しさ溢れる心に、ただ胸が熱くなった。
「炭治郎、本当にありがとう。俺がいない間、かれんを頼む」
「うん!!かあさんはおれにまかせて!!」
ぐっとちいさい拳を天に向ける炭治郎に、杏寿郎は目を細めた。
「あっ!杏寿郎、時間っ!」
「む、もう出なければな!かれん、炭治郎、行って参ります」
「とうさん!いってらっしゃい!」
「うむ! ……、かれん、少しいいか?」
「ん?」
杏寿郎がかれんの髪を耳に掛け顔を近づけると、甘くささやいた。
「…帰ってきた夜は、かれんを抱きたいのだが、…構わないか?」
「…〜〜〜ッ!?!」
「え!!とうさん!!なにをかあさんと、こしょこしょ、してるのっ??」
「ん?かれんに、愛してると、伝えたんだ!」
「・・・あいしてる…??」
言葉の意味が分からず、きょとんとする炭治郎。かれんは顔を真っ赤にして、硬直してしまう。
「きょ、杏寿郎っ!!時間!!で、電車っ!!遅れるよ!!」
「うむ!!」
杏寿郎は駆け足で、駅に向かっていった。
・・・
その夜、杏寿郎と炭治郎の電話にて。
「かあさんね、とうさんがいったあと、ずっとまっかだったよ!」
「た、炭治郎っ!!もうそれ以上、言っちゃダメ!!!」
電話の向こうでは、杏寿郎の嬉しそうな笑い声が響いていた。
おしまい 𓂃◌𓈒𓐍