第17章 やさしい花束〈不死川実弥 / 時透無一郎〉
「ね!無一郎から素敵な贈り物をもらえて、とっても嬉しいわ!」
「母さんが喜んでくれて良かった。また次も楽しみにしててね」
「うん!いつもありがとう!」
嬉しそうに微笑む無一郎。かれんもにっこり笑うと、無一郎の頭をぽんぽんと撫でた。
「…もう、母さんはいつも僕を子ども扱いするんだから」
恥ずかしそうにむすっとする息子の姿もたまらなく可愛い。かれんは、ごめんごめんとまた無一郎の頭を撫でた。
「…オイ、無一郎。俺には何もねェのか」
「…だって父さん、この間の健康診断で糖分控えめにって言われたんでしょ?だからしばらくおはぎは禁止ね」
「え"ッ…、知ってたのかよ…っ」
「当然でしょ。もう若くないんだから、体には気をつけてよね」
「…お、おゥ…」
ピシャリと言い放つ無一郎に、実弥は何も言い返せなかった。
(…無一郎も言うようになったじゃねェか…!!!)
「母さん、夕飯の支度、手伝うよ」
「あら!ありがとう!今日は無一郎が大好きなふろふき大根よ」
「本当?嬉しいな」
かれんとにこにこと楽しそうに台所に立つ無一郎を見て、我が子の成長に驚愕しつつも、何も言えないままの実弥だった。
「父さん、おはぎのこと、気にしてる?」
「バッ…!!!気にしてなんかねェよ…っ!!!」
「・・・父さん、分かりやすすぎ」
実弥より、どこか一枚上手の無一郎に、かれんはくすくすと笑ってしまうのだった。
おしまい 𓂃◌𓈒𓐍