第10章 ●囚われる●
「う…ん。ご、じょう?」
目が覚めると目の前に五条が居た。
私はどうやら、あの男に抱きかかえられているようだった。
「恋、大丈夫?助けに来たよ。」
「五条!?死んじゃったかと思った。」
「死なないって言ったろ?」
「うん。そうだね。良かった。ちょっと、降ろしてよ!」
「あー、気の強い女だな。ちょい、ここで待ってろ。」
そう言って男は私を木陰に降ろした。
とにかく五条が無事で本当よかった。
五条と男が戦ってる。
様子がおかしい。
五条、強くなってない?
男が吹き飛ばされた。
「恋、ちょっと待ってろ。」
そう言った彼の横顔がとってもカッコよかった。
五条は物凄いスピードで男の方へ走って行った。
はやっ、全然見えなかった。
1人、木陰で待ってると後ろから声をかけられた。
「お嬢、無事ですか?」
「あれ?何であなたがこんなところに?」
その人は、ウチの使用人だった。
「七海さんところの坊ちゃんから本家の方に電話がありましてね。お嬢が捕らわれたから助けてくれと。」
「そう、建人が。」
「お嬢、一緒にきてください。お館様がお待ちです。」
「大ババ様が?でも今、人を待ってるんだけど。」
「五条悟ですか?彼なら大丈夫ですよ。さっき見てきましたけどあの様子なら間違いなく五条悟が勝ちます。早くお連れしないと私の首が飛びます。」
今のは冗談ではない。
大ババ様に逆らえば本当に飛びかねない。
「わかった。行きます。」
言う通りにするしかなかった。
車に乗って発進したところで後ろを振り返ると、五条がこっちに戻ってくるのが見えた。
携帯を出して電話をかける。
「もしもし、五条?私の事なら心配いらないから。私は無事よ。ちょっと家の者が心配して迎えに来ただけだから。安心してね。」
一方的に言って切った。