第9章 醒める
建物の中に入り、天内の遺体を抱き上げた。
すると周りにいた信者の奴らが拍手を始めた。
何だよ。天内は殺されるし、恋はどっか行くし、俺は今最悪な気分なんだ。
そこへ傑が現れた。
「悟!何があったんだ…」
「傑、硝子には会えたんだな。」
「あぁ、私は治してもらった。それより、恋は?」
「アイツはどっか行った。電話で無事だから心配するなって言ってたけど、連れ戻しに行く。その前にコイツら殺すか?今の俺なら多分何も感じない。」
「いい、意味がない。」
「意味ね。それ、本当に必要か?」
「大事なことだ。特に術師にはな。」
星の子の家を後にし、俺と傑は高専に戻ってきた。
「おーい、二人とも無事?」
硝子が走り寄ってきた。
「おい、硝子。七海どこにいるか知らない?」
「えっ?七海?アイツなら一年の教室に居たよ。」
それを聞いてダッシュで向かった。
「七海!」
「五条…さん?恋は?無事ですか?」
「おい、お前。恋の事で誰かに連絡したか?」
「はい、しました。誰でもいいんです!恋を助けられるなら。あなたが死んだと聞いて、恋を助けて欲しいと彼女の本家に頼みました。」
「どこに連れて行かれたかお前知ってんの?」
七海の胸ぐらを掴んだ。
「五条さん、怒りたいのはこっちの方ですよ。」
七海の言葉に我に返る。
そして、手を離した。
「悪い。全部、俺が悪いんだ。頼む七海、恋の居場所を教えてくれ。」
「………おそらく、本家へ連れていかれたのだと思いますが。私も正確な場所は知らされていません。山の中だと言うことしか。周りは特殊な結界で覆われていて、よそ者は近づけない様になってます。」
「わかった。後はこっちで調べる。悪かった。」
教室を出て、電話をかける。
「もしもし?俺。龍家って知ってる?」
「これはこれは、悟坊ちゃん。龍家ですか?ええと、確か蛇使いの?」
「うん。その龍家の本家がどこにあるか正確な場所調べて教えて。なるはやでよろしく!」
「かしこまりました。」
俺は御三家、五条家の人間だ。
ナメてもらっちゃぁ、困るんだよ。