第41章 ●戒める●
「ふ、二人?」
「そうや。俺と真依ちゃんの二人だけでや。」
「てめぇ、真依から離れろっ!」
ほら来た。
「女の子がそんな下品な言葉つこうたらあかんよ。」
「うるさい!さっさと離れろっ、このくそ男!」
この威勢のええ方が真希ちゃん。
同じ顔、同じ乳やのに全然違うねん。
まあ、そこがおもろいとこなんやけど。
「お前はまた俺にいじめられたいんか?」
コイツは呪力がほとんどないくせして身体能力だけは人並外れてる。
「先に真依を離せ!」
「ホンマ、うるさいガキやのぉ!」
真依ちゃんを離し、真希ちゃんの方へ近づく。
「おい!あれ貸して。」
使用人から着物の帯を渡される。
そして、その帯で真希ちゃんの体をぐるぐる巻きにして縁側の外へ転がす。
「や、やめろ!」
「こうでもせんと真希ちゃんはすばしっこいからすぐ逃げてまうやろ?」
足蹴にする。
すると、庭の方から足音が聞こえてきた。
「あれぇ?何か楽しそうな事やってんじゃん。」
こ、この声は……
「悟くん!?」
「よお!直哉!何やってんの?」
「な、何って……」
「大丈夫ですか?」
悟くんが連れてるクソガキがいつの間にか俺の後ろにいる真希の側に来てた。
「あ、ああ。悪い、恵。これ解いてくれ。」
真希ちゃんを助けるクソガキ。
「悟くん、待ってえな。これはな、ちょっとした遊びやねん。」
「直哉、こういうことは止めろって言っただろ?」
口元は笑ってる悟くん。
せやけど、隠れてる目はわろてへんのやろな。
「ごめんやで、悟くん。もうせえへんから許してえな。」
これ以来、あの双子で遊ぶんが怖なってしもた。
いつ悟くんが出てくるかわからんしな。
「直哉様、双子でお遊びになられるのはおやめになったほうがよろしいのでは?またあのお方が。」
帰りのクルマの中で使用人に言われた。
「悟くんか……もう、俺はどないしたらええねん。」