第39章 ●縛る(夢主の場合)●
「さすが硝子!」
「まあね。」
「お前らまさか……」
「上手くいったね、恋。」
「そうだね。」
この人、悪い人じゃないんだけどね。
口だけで実際は何もしないから放っておいたの。
そしたら最近調子に乗ってセクハラ発言酷くなっちゃって。
だから、硝子と相談してお仕置きする事にしたの。
「お前らなぁ……」
「この写真バラまかれたくなかったらセクハラ止める事だね。」
硝子がスマホの画面を見せながら言った。
「クソ……」
悔しがる日下部。
「硝子、後で私に送ってね。」
「わかった。」
「恋、お前可愛い顔して鬼か?」
「えへ」
日下部に貰った飴を舐めながら帰路につく。
「ただいまー、恋。」
夜になり悟が戻ってきた。
勢いよく走ってきて私を抱きしめる。
「ちょっと、やめてよ。公共の場で……」
ここ、高専の廊下なんですけど。
何年ぶりかで会えた恋人同士みたい。
ほんの数時間離れてただけなのに。
「だってあんなオッサンと2人っきりでいたんだよ?心配するに決まってるだろ?」
「硝子もいたよ。」
「あれ?そうだっけ?」
「言ったでしょ?」
「全然覚えてない。」
「もうっ!」
頬を膨らませる。
「あんまり可愛い事してたらここで襲っちゃうよ。」
本当にやりかねないから怖い。
「バカ……あ、そうだ。これ見て。」
スマホを見せる。
「おい!何だよ。これ、お前?」
「これ触ってる様に見えて実は触ってないの。硝子と日下部騙して写したのよ。これで脅しておいたからもう誰にもセクハラしないよ。」
「鬼だな。」
「えへ」
「可愛いね。帰ろっか。」
長い手が伸びてくる。
「うん。」
その手を取る。
大好きな大きな手。
絶対に離さない。
頼んだって離してやらないから。