第37章 ●委ねる●
キツく抱きしめてくれた。
「そんな事ばっかり考えてんの?」
「酷いなぁ、僕は恋の事しか考えてないよ。」
「私も悟の事だけ考えてる。だから許さない。」
「何を?」
「浮気しまくってた事。」
「ええっ!?そんなあ。何でもするから許して!」
「何でもするって言ったね。」
「なんだか怖いよ、恋ちゃん。」
「じゃあ、私より先に死なないで。」
「えっ?そんな事……って、それじゃ恋ちゃんが先に死んじゃうじゃん。そんなのダメだ、ぼく耐えられない。」
「悟が私の前から消えちゃったら耐えられない……」
想像したら悲しくなった。
「あーもうっ、泣くなよ。」
抱きしめてくれた。
「だって……」
「僕だって耐えられないよ。恋ちゃんが消えちゃったら。」
「浮気した罰なんだから絶対私が先に消える!」
「はいはい、わかりました。僕は消えないからね、ごめんね、許して。わがままメイドちゃん。」
「お腹しゅいた……」
「お前なぁ。」
いつの間にか窓の外は真っ暗。
時計を見る。
「だってもう夜の8時だよ。晩御飯食べなきゃ。」
「わかりました、可愛いメイドちゃん。何食べる?」
「超高級おしゅしが食べたいよぉ、ご主人さまあ。」
「おしゅしって……もう可愛いんだから。」
キスされちゃった。
「着替えるね。」
立ち上がるの不思議そうに私を見る悟。
「何で?」
「だってご飯行くのに。」
「そのままでいいじゃん。どうせタクシーだし。」
「絶対ヤダ!」
「意地悪。」
「他所の男に見せてもいいの?このカッコ。」
上目遣いで聞いてみた。
「絶対にダメ!特に日下部みたいな男に見られたら大変!早く着替えなさい。」
まったく、バカな男。