第36章 ●護る●
「恋!」
高原の別荘地、雪が舞い散る中で一軒の別荘に辿り着く。
中へ入り、電気を点ける。
暖房は効いていない。
すると、ソファに人影が。
「恋!」
名前を呼びながら近づく。
目を閉じ、ソファにもたれかかる恋。
肌が異様に白い、まるで死んでいるかのように。
「恋、起きろ、恋。」
恋の胸に耳を当てる。
心臓の音が聞こえる。
良かった、生きてる。
だけど身体がすごく冷たい。
「さ、とる?」
目を開け、僕の名を呼ぶ愛しい女。
「恋!」
抱きしめた。
しっかりと。
「悟……ごめん。」
「何が?」
「私……弱くて。」
「お前が謝る必要なんてない。」
体が震えてる。
頭をさすってやる。
一体何があったんだ?
傑に何をされた?
「五条、早く。」
後ろに立ってる硝子が言った。
いざという時の為に連れてきていた。
「ああ、わかってる。」
恋を抱き上げて外に出る。
そして、車に乗せて高専へと戻った。
「どうだ?」
高専に着き、車の中で恋を診ていた硝子に様子を聞いた。
「今から検査してみないと詳しい事はわからないけど、多分睡眠薬だと思う。」
恋はまた処置室の中で眠らされている。
「何されたかわかった?」
「今から検査するけど、見とく?」
「ああ、見せろ。」
中へ入ると手術着のようなものを着せられた恋がベッドへ横たわっていた。
硝子が合わせ目の紐を解き、服をめくって胸を見せた。
「……またか。」
胸には無数のキスマーク。
「こっちも。」
硝子が恋の体を少し持ち上げ、肩を見せた。
蛇の頭が見えた。
だが、その周りにも無数の跡があった。
「これ、消せるだろ?」
「綺麗に出来るよ。」
「早く綺麗にしてやってくれ。頼む。」
硝子に任せ、学長室へ報告に行った。