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流れる 〜呪術廻戦 五条悟※R18〜

第34章 嬲る


「これでいいですか?」

「はい、あのお方もさぞやお喜びのことと思います。」



恋と別れた。

あんなに愛した人を傷つけてしまった。

不可抗力とはいえ、傷つけてしまった事にかわりはない。


以前尊敬していた彼は、私の身近な人間に近づいて巧みに操り私をはめた。

高山涼子、彼女は私の元上司の娘。

子供の頃から見える体質だった。

3級ぐらいまでの呪霊なら何とか倒せるレベルだ。

しかし、彼女は学生の頃から素行が悪く問題ばかり起こしていた。

父親である上司が嘆いているのをよく耳にした。

私が会社を辞めて術師として働き始めた頃、彼女はタチの悪い呪詛師と付き合うようになっていた。

元上司から相談を受け、涼子を説得して高専の補助監督としての仕事を斡旋した。

それがいけなかった。

私は涼子の本質を、彼女の裏にいる呪詛師の本性を見抜けなかった。

後で知った事だが、涼子が高専で働き始める前に元上司とその妻が殺された。

犯人は涼子とその裏にいる呪詛師達。

何故、もっと早く見抜けなかったのか。

私の未熟さ故の過ちだ。


先日、高山涼子がその本性を表した。


「建人くん、これ見て。」

彼女がスマホの動画を私に見せた。

そこに映っていたのは何年も前に事件を起こし、逃走している夏油傑だった。


『七海、久しぶりだね。』

髪を下ろし、僧侶姿の夏油。

『元気かい?君、恋と付き合ってるんだってね。びっくりしたよ。私が涼子を高専に送り込んだ直後の事だったからね。タイミングがいいやら悪いやら。』

送り込んだ?

隣にいる涼子を見る。

『君に頼みがあるんだ。恋と別れてくれないか?恋には悟と付き合っていてもらわないと困るんだよ。私はね、悟が愛してる恋を愛しているんだ。』
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