第32章 ●逸る●
12月7日僕の誕生日。
恋と食事してから散歩した。
手を繋いでくれた。
だけど、泣きそうになってる。
僕、六眼だよ?
暗くてもわかるんだ。
可愛いな。
必死に我慢してる姿にグッとくる。
そんな事言ったら恋キレるだろうな。
家に着くと早くケーキが食べたいだって。
わがままな恋も好きだよ。
2人っきりで過ごす時間。
久しぶりだな。
キスしたくなっておねだりした。
でも嫌だって言われて、僕の事嫌い?って聞いたらうんって即答された。
凹むなぁ。
「それつけたところを写真に撮らせてよ。」
今日のために買っておいたんだ。
怒り出す恋。
「僕、お前じゃなきゃ勃たないんだよ。」
正直に打ち明けた。
「何言ってんの?気色悪い。」
「その言い方酷くない?」
「だって……こんなの買ってまで……」
「エッチな動画見てもぜんっぜんダメなんだよ。恋ちゃんのエッチな姿思い出したら勃つんだ。」
「じゃあ、それでいいじゃない。」
「もう、記憶が薄れてきてるんだよ。だから写真に残しておきたいの。」
「私、こんなのつけてた事ないけど。」
袋の中身を指に引っ掛け、クルクル回し始めた恋。
「前から着けさせてみたかったんだよね、セクシーランジェリー。」
そう、あのピンクの袋の中身は黒いレースのエッチなパンティ。
「これ、どうやって穿くの?」
「先に片っぽだけ結んでから穿けばいいよ。」
「さすが詳しいね。」
「ネットで見たんだよ。」
本当は前に浮気相手が似たようなの着けてたんだ。
「嘘つくな。」
恋には何でもお見通しだな。
「ごめん。」
「最悪。」
「もうしないから。ちょっと飲み過ぎだぞ?」
さっきからワインをグラスに注いではがぶ飲みしてる恋。
「飲まなきゃやってらんない。」
「酔ったらコレ着けてくれる?」
「写真はやめて。」
「わかった。しっかり目に焼きつけるよ。」
「向こう向いてて。」