第27章 決する(五条の場合)
「ごめん、泣かないで。」
「悟のバカァ。」
必死に涙を堪え、僕に背を向けて歩き出す恋。
「待って。よしよし、ね?ほら、泣き止んで。よしよし、ごめんね。」
頭を撫でてやった。
そしたら泣き止んでくれた。
「飲み過ぎないでね。じゃ。」
恋には、何でもお見通しだな。
「わかったよ。気をつけて帰れよ。」
「はーい。」
恋を見送る。
マミちゃんが真面目にやってたら恋ちゃん戻ってくるって言ってたけど、本当に戻ってくるのか?
あれから女遊びはしていない。
仕事と、硝子達と酒を飲むだけの生活。
窓の外を見ると、正門から七海が入ってくるのが見えた。
嬉しそうに駆け寄る恋。
心臓が締め付けられる。
こんなの見てられない。
嫉妬でどうにかなりそうだから。
恋を愛しているから。