第18章 ●嵌める●
「そういうことや。ホンマ、悪かったなぁ。悟くん、恋ちゃん俺はただ、恋ちゃんが好きなだけやねん。ホンマそれだけ。」
「それにしてもやり過ぎだよ、直哉。僕を誰だと思ってるの?バレるに決まってるじゃん。」
「ホンマ、ごめんやで。堪忍してください。」
「お前の父親には伝えたから。」
「嘘やん、それアカンやつやん。」
その時、付き人が車から降りてきた。
嫌な予感。
「直哉様、ご主人様が帰って来いと仰せです。」
「わかった。はよ帰らんとどやされるわ。みゆゆ、帰るよ。」
「コラ、ちょっと待て。要するにコイツが仕掛けたハニートラップにそいつはまんまと引っかかったってこと?」
恋ちゃんはまだ納得してはらへん。
もはや、あだ名ですら呼んでもらわれへん。
「まあ、そういう事なんでしょうね。」
また七海くんや。お前は司会者か?
「ふーん。お前二度とその汚い顔私に見せないで。今度その顔見たらあそこ使いものにならなくしてやる。」
僕を指差して睨みつけながらしゃべる恋ちゃん。
「こわっ、堪忍してぇな、恋ちゃん。」
股間を押さえながら車に乗った。
あぁ、こわ。
悟くんも本気の目やったし。
悪いモンに手出してしもたみたいやな。
そして、家に帰ると父親からめっちゃ怒られた。
「五条悟を怒らせるとは何事だぁ!」
悟くんも、悟くんの選んだ女もどっちも最強やわ。
今まで通り、あれの言うことだけ聞く女と遊ぼ。
あんな強い女なんかいらんわ。