第11章 共にあるもの ※
ガチャ・・・
「お、帰ってきた」
オビはあかねの部屋のベランダの柵に座っていた。
「・・・お待たせ」
あかねは、薬室長に一言挨拶してくると言って先にオビを帰らせたが、オビは先にあかねの部屋に来ていた。
この部屋に誰かがいるという安心感が、あかねの心をふわっと温かくする感覚を感じた。
「ワインでいいよね?」
あかねはそう言いながら持ってきたワインをテーブルに置き、戸棚からグラスを2つ取りながら聞いた。
「もちろん」
オビはそう言うと、ソファへ座り、持ってきたつまみをテーブルに出した。
「おいしそ・・・どこから持ってきたの?」
「この前城下へ行った帰りに買ってきたんだよ
あかね嬢、こういうの好きでしょ?」
そう言いニッと笑うオビに、あかねもふっと笑顔がこぼれた。
「ありがと
はい」
ワインを注いだグラスを渡し、自分のグラスにもワインを注いだ。
「いただきます
・・・お!これ美味いね!」
「でしょ?
わたし、これ好きなんだよね」
2人はそのままお酒を飲みながら、今日の白雪はこうだった、ゼンは、ミツヒデは、木々は・・・と、話をした。