第10章 護衛
一方・・・
ピュイ・・・
兵の内側から口笛が聞こえると、兵の外にいた男が空を見上げていた。
あかねはそんな男を木の上からしっかり観察していた。
「取った!」
「!!!
うわぁ!!!」
ドサッ!!
という大きい音が聞こえると、塀の外にいた男はちっ・・・と舌打ちをして走りさろうとした。
「はい、ちょっと待ってね」
そんな男の前に、あかねは立ちはだかった。
「あ、あかねどの・・・?!
こ、こんな所で何を・・・?」
男は予期せぬ人物に驚きを隠せなかった。
「んー、ゼン殿下からの依頼、かな。
大人しく、ゼンのところに来てくれますか?」
ニコッと笑いながら、男に聞くあかね。
「・・・・・・」
男は、本能的に「やばい」と悟った。
だが、ここで捕まる訳にもいかない。
「くそっ!!」
ダッ!!!
男はあかねから逃げるように走ろうとするが
サッ・・・カッ!!
「うぐっ!!」
あかねの投げた短剣が、男の服を壁に縫い付けていた。
「逃げたらダメですよ?ね?」
「っ・・・」
男はあかねの可愛らしいのに恐ろしい笑顔に、ガクッと項垂れた。