第9章 ラジ王子の訪城
白雪は、あれからぼーっとすることが増えた。
仕事はしているが、リュウやガラクから薬草をつむように依頼されると、自分が試験の時に使った薬草園で1人座り込み、少しぼーっとしてから戻る、仕事が終われば部屋に引きこもりがちになっていた。
(私は、どうあれば良いのか・・・)
頭の中をグルグル回る考え。
数日経って、廊下でたまたまミツヒデと会う。
「おー、白雪!」
「ミツヒデさん!
あれ、珍しいですね
おひとりで」
白雪はいつも通り答えた。
「ははっ
俺達も常に4人一緒なわけじゃないよ
特に今はゼンが
出歩かないからさ」
「それも珍しい・・・
忙しいんですね」
「次々仕事がくるんだよ・・・
イザナ殿下がご帰還されてから
もうずっと」
びくっ!!!
「・・・ゼンの・・・お兄さん・・・・・・」
白雪の身体が大きく揺れ、小さく呟いた。
「「・・・・・・」」
2人はお互いに言葉をかけられずにいた。
(ミツヒデさんと木々さんとあかねさんは
王子であるゼンの立場を知ってる
その上で
どう動くのかも)
「・・・あ・・・・・・
あの
ミツヒデさん・・・」
「ん?」
ミツヒデは、白雪に優しく答える。
「・・・・・・その
・・・・・・・・・」
(なんて言えばいいの・・・)
「いや、すみません!
なんでもないです!
じゃあまた!!」
頭をペコッと下げて、顔を見られないようにそのまま立ち去る白雪に、
「あ、あぁ・・・」
ミツヒデは見送るしか無かった。