第1章 出会い
「ーーで
なんでついてくるの
ゼン」
白雪は森の中を歩きながら、後ろから着いてくるゼンに向かって聞いた。
「怪我した娘を1人で森に出すなんて
紳士の名折れだからな
こんな嫌がらせを受けてもな」
ゼンはほどけた包帯を見せるように腕を軽く振った。
「はー…
私は薬草の勉強で
山と森に離れてるから平気だよ
街中とは違う時間と空気の流れがあって
居心地もいいしね」
包帯を軽く巻き直しながら、白雪が言うと
「あぁ…
それわかる」
ゼンは穏やかな顔で森を見ながら答える。
(あ、こんな顔もするんだー…)
「今のは素直だね?」
白雪は、ゼンの意外な一面を見て、笑顔で言った。