第3章 Memory that has been forgotten
∞記憶の欠片
『…』
目が覚めると知らない場所に居た。
真っ白なベッドでただ、仰向けになって天井を眺めていた。
頭がぼんやりとする。
何も浮かばないもやもやした頭でしばらくの間
動かずにしばらく天井だけを見つめていた。
『…ここは』
少しずつ覚醒した脳が、たくさんの情報を入れようと
脳細胞が動き始める。
知らない部屋。上体を起こし視線を横に向ければ
一つの写真が目に留まる。
私を入れて10人の少年少女達が笑顔でピースをしていた。
皆、見覚えのない人達。
写真に写ってる私も笑顔だから、きっと親しい関係なのだろうか?
その写真立てに直接
それぞれの名前と数字が書いてあった。
『…NO.10…?』
私の名前の後にNO.10
そう記されていた。
NO.10ってなんだろう?
皆、それぞれ数字が違う…もしかして、何かの番号なんだろうか?
立ち上がり部屋を出ると
ドアがいくつかあり、通路に出る。
その奥にある一つだけ変わったドアがあった。
近づいてみると何やら自動ドアのようでドアが横に開いた。
恐る恐る部屋へと入れば
『…誰もいない』
静寂が辺りを包み込む。
目の前にはガラス製で大小様々な形が連なってる円卓。
お洒落なテーブルはこの部屋の真ん中に
そのテーブルを挟むように水色のソファーが置かれていた。
『…知らない…ここは何処なの?』
何も音のしない、静寂なこの場所で
知らない場所に佇んでいる私にひっそりと不安が押し寄せる。
泣きそうになりながら、向かいの部屋に気付くと
足先をそちらに向けた。
「…ただいまっすー!」
『っ?!』
あと少しでドアの前…というところで
目の前にあるドアが勝手に開いたと同時に知らない男の人が元気な声で入ってきた。
『…』
「…あ、っ!体調はどうっすか?」
知らない人を前に固まる私。
その人はそんな私を余所に笑顔で話すと
馴れ馴れしく私の肩に手を置いた。
そして視線を合わせて
ごめんといいながら両目を赤く光らせのだ。
『っ?!』
「…びっくりさせてごめん…俺はセト
…瀬戸幸助って言うんす…人見知りで…リセットされるとこうして俺は能力使うんすよ」