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古の過去と遠い記憶 (カゲプロ)

第1章 夢か夢現か



「…――?聞こえますか?」

「…っ」

私を呼ぶ声に導かれるように、目を開く。
看護婦さんが安堵した表情をして
あぁ、また意識飛んだんだなと
瞬時に理解した。

掠れた声で返事をし顔を横に向ければ、点滴がまた1つ増え私の体に液体が入っていく。
いつまで持つのかこの体は。
両親も友達もいつしか来なくなり、ずっと一人ぼっち。
同じ室内の仲良くしてくれた子は
数か月前に治らない病に苦しんで自殺をした。
今頃は、あっちの世界でも楽しくしているのだろうか。

治る見込もないなら私も逃げ出そうか
看護婦の目を盗み、病室を飛び出した。
向かうはあの子と同じ場所へ。






階段を1歩1歩上がる。
立つだけでもやっとのこの体。けれども、エレベーターを使っては見つかってしまうと考えた私は
本館から離れた先にある、古くてあまり使われてない階段を使って屋上へとめざした。
階段の手摺にすがりながら上っていく。
1歩1歩が、やけに重く感じる。


「はぁっ…はぁっ…あと少し」

「…あの、大丈夫っすか?俺が登るの手伝うっすよ?」


「っきゃあ?!」
「おっと、危ない」


もう一度言うとここは普段は使われることのない階段。
階段が、痛んでいるから別の場所へと新しく作りなおしをされ
忘れられた場所。
屋上に続く階段はここしかなく、
他の階へは封鎖されてるわけだから本当に利用する人はいないはずなんだけど…

後から突然声がし、驚いた私はバランスを崩し段差を滑り落ちるはずだったんだけど
別の声がしたと思いきや、知らない誰かに抱き止められていた。
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