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古の過去と遠い記憶 (カゲプロ)

第2章 infinite loop


∞新しいルート


『……朝?』



上体を起こし、まだ覚醒しきってない頭でなんとか昨日の出来事を思い出そうとした。


そうか……また、始まったんだな。
少しずつ覚醒する頭の中で、鮮明にあの時の出来事を思い出し辺りを見回す。


おかしいな。……いつもは俺が住んでいる(正確には母親と)アパートの一室から、新たな8月14日が始まるのに。



ここはどこだ?
ぱっと辺りを見回したが……多分、男部屋だ。



何故、曖昧なのかと言うと

男部屋のようにシンプルなのだが、花がテーブルや窓際等
所々に置かれているのだ。




ま、男でも、植物を愛でるのは可笑しくないし
女でもシンプルな部屋を好む奴もいるだろう。


なので、こんな曖昧な表現をしたのだ。



「……あ、起きたっすか?」




調子はどうっすか?としずかに部屋に入ってきた緑色。
緑色のつなぎを着てる長身男だ。

心配そうな顔で、こちらに近寄ると両手に持っていたトレーをそっとテーブルに置いた。



「君……路地裏で倒れてたんすよ。これ、お粥作ってきたんすけど……食欲はあるっすか?」


『……ありがとう……緑色』





「み、緑色?……もしかして、今着てる服を見てそう呼んだんすか?」






安直っすね……と俺の頭を馴れ馴れしく撫でる緑色に
多少の苛つきを感じるが、助けて貰った身
ここはあえて我慢をした方が得策だろう。


『……ところでここはどこだ?』


「俺はセト、瀬戸幸助っす。ここは俺の部屋なんすけど……」



俺は場所を聞いただけなのに、律儀に自己紹介付きで説明してくれた。
彼の話によるとバイトの帰り道で、俺が意識なく倒れていたんだと、ここまでは先程聞いたんだが



連れて帰る途中、一瞬懐かしい感じがして不思議に思ったこと

看病してる時、うっすら開いた目が赤かったこと



俺が意識を失っていた出来事を全て、洗いざらい話してくれたんだ。



「……俺達の仲間っすね。よろしくっす。えーと……君の名前は?」


『サクヤ』


「サクヤさんっすか。よろしくっす!」





そう言ってニカッと、眩しいくらいの笑顔で握手を求めるセトと差し出された手を交互に見て
おずおずと目の前にある差し出された手を握り返した。


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