第2章 infinite loop
何か胸騒ぎがする。
足早にアジトへと戻りドアを開けると中から異様な……血生臭い強烈な臭いが部屋全体を充満していた。
『み、皆……?』
奥へ進むとキドやモモが血だまりの中で倒れていて、シンタローはピクリともしないままうつぶせに倒れていた。
その隅でマリーが蹲り顔を伏せしくしくと泣いていた。
俺の息をのむ音に気付いたのだろう。
俺の存在に気付くと力なく此方へと歩み寄る。
「み、みんなが……嫌だよっ!」
少々パニックを起こしてるからか、状況が今一伝わってこない。
ただ倒れてる3人と、血生臭い臭いでただ事じゃない事だけははっきりわかる。
マリーの涙を指で優しく払い、辺りをもう一度見渡す。
すると先程まで気付かなかったが、一匹の蛇がこちらを見下す様にみていた。
「おやおや……誰かと思えば久しぶりですね。 ですが、残念…、今回もお前の負けだ 」
『っ…!!お、お前は!?』
このループの裏で手を引く奴だ。
今度も負け?
『…まさか仲間を殺ったのは「くくっ…勘違いをされては困る。確かに一人は俺が殺したが…他の奴等を殺したのは他でもない…そこで、息絶えた哀れ奴だよ。」
そう俺の言葉を遮り、ニヒルに笑う一匹の蛇。
くねくねと体を揺らし愉しそうに此方を見て笑う。
「嫌だよっ!……もっと一緒に…」
不意にマリーからか細い声が聞こえる。
彼女の悲痛な叫び声はずしりと心にしみ込む。
「フィナーレだ。女王。」
『や、止めろ!……がぁっ!!』
蛇が歓喜の声を上げると、瞬足で俺に近づき
鳩尾を最大限の力で殴り飛ばす。
「戻りたいっ!!もっと皆と一緒にいたい!!」
うっすら視界が暗くなる中、マリーの叫び声と共に
マリーのウェーブのかかった長髪はざっと短くなり
頬に鱗の様な物が浮き出るのが見えた。
しばらくすると、俺の中から一匹の蛇が抜き取られ
マリーの元へ他の蛇たちと同様集まっていく。
それを最後に意識がぷつんと切れたんだ。