第42章 rouse一虎②
「おっ!気が付いたか一虎ぁ!」
満面の笑みのマイキーが駆け寄ってきた。
「マイキー…勝手なことすんなよ!
俺は自分のことは全部一人で片付けるんだよ!」
「気にすんな一虎」
そう言ってマイキーは
スッと手を差し伸べてきた。
「お前は俺のもんだ」
目を見開く俺に、
マイキーはニッコリ笑った。
「だからお前の辛ぇのとか苦しいのとか、
全部!俺のもんなんだ!」
俺の目から、今まで死に物狂いで耐えていたものがこぼれ落ちて行った。
"他人と繋がるんじゃない。
自分と繋がるの。"
ランの言っていた言葉が
脳裏に反芻した。
"人との繋がりっていうのは、
誰かと繋がることで、自分の中の新しい自分自身と、今までの自分自身とが"自分の内面で繋がる"ことなの。"
俺は、マイキーの差し伸べていたその手を
初めてとった。
"誰かと会ったり、話したり、行動したりすることは、その誰かとつながることが目的なんじゃない。
それを通じて自分の中に生まれた新しい自分と繋がるためなんだよ"
手を取って立ち上がった視線の先には
ランがいた。
慌てて駆けつけていたようで息を切らしていたが、
周囲を見回して、そして俺たちを見て、
フッと頬を緩めた。
"私はね…
自分が自分自身を理解するために向き合うことこそが、"人との繋がり"なんだと思ってる。"
俺はこの日、初めて
自分とも他人とも
本当の意味で向き合うという意味を知った。
Fin