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progress ~東リべ卍~R18~

第42章 rouse一虎②




俺はよく、ふとした瞬間に思い出す。



バラバラに散らばった家の中。
泣いている俺、項垂れている母親。



「覚えておきなさい一虎。
俺は怒ってるんじゃない。
これは躾だ。」


胸糞悪い記憶。
思い出す度に黒い憎悪が俺の中を支配する。



「わかるな?一虎。
この家で一番偉いのは?
なんの不自由もなく暮らせてるのは誰のおかげだ?」



いつでも偉そうに人を見下す人だった。


そんな惨い記憶を初めて人に話した。


そしたらその人は俺にこう言った。


自分も一緒だったと。


そして…



「じゃあ一虎、一緒に強くなろう。
心も、体も。
そんなことなんか忘れてしまうくらい。
いつかどこかで会った時、鼻で笑ってやれるくらい。」



弧を描くその唇と瞳。


ランは初めて、
俺の黒い心の中に一筋の細い光を刺した人間だった。
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