第35章 repel*
ガッ!
「テメェだな?
女襲いまくってたのは」
ゴッ!
ドガッ!
「ケン坊〜そんくらいにしときなさいって〜
今警察に電話しといたから」
ドラケンは、男を踏みつけながら長いため息を吐いた。
「おー悪ぃな。囮役やってもらっちまって」
「んーいーよー。マッサージ1ヶ月分だもんね〜」
ニヤリと笑う店の女にドラケンは苦笑いする。
そしてまた鋭い視線を落とした。
「テメェ…うちの姫にまで手ぇ出しやがったよな?」
男はドラケンにボコボコにされたため、呻き声を上げながら倒れている。
もう夜に差し掛かっていて薄暗いが、見た感じ20代後半〜30代前半に見える。
「おいおいちっと喋れや。
だらしねぇ奴だなクソ野郎」
「うっ…」
「赤いリボンの子だよ。
首にタトゥーあって他の子より多少強かったから分かんだろ?」
「…は?…しっ、知らなっ…」
ドガッ!
「まぁいい。んなこと聞いても意味ねーよな」
完全に伸びてしまっている男の背に腰かけながら、ドラケンは携帯を取り出した。
三ツ谷と万次郎…この場合…
どちらに先に知らせるのが普通だろうか…?
「…チッ。んで俺がこんなくだらねぇことで悩んでんだ。いーやまずは三ツ谷で。」
ドラケンは三ツ谷に電話をかけ始める。
呼出音がやけに長くて少々イラついたが、恐らく今部活が終わったタイミングだろうからバタついているのだろうと思った。
あいつは学校でも家でもプライベートでもいろいろ大変そうだな、なんてことを考える。