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progress ~東リべ卍~R18~

第34章 ratio*




「俺はねラン、
好きな奴には悲しんでほしくないんだ。この先ずっと笑っててほしい。それが俺の幸せなんだ。
俺にとっては、ランも三ツ谷も、東マンの奴らもみんな、大好きな宝だから。」



そう言って万次郎は笑った。




「自分の幸せが好きな奴の幸せなんて、
すげぇラッキーだと思わない?」




無邪気な笑顔に、
ついにランの目から涙がこぼれ落ちた。



"人が動くときはね、
自分の幸せのためか、好きな人の幸せのため。"


柚葉の言葉がまた反芻した。




「万次郎…私ね、これからも…
万次郎のそばにいるから。命を懸けて守るから。」



万次郎を真っ直ぐ見つめて手を握った。



「挫けそうな時、万次郎が万次郎でなくなりそうな時も、いつどんな時でも命を懸けて救い出すから。」




"挫けそうな時、俺が俺でなくなりそうな時
俺を叱ってくれ。兄貴のように。"



万次郎は、かつて自分が言った言葉を思い出して
目を見開く。




「…ね?万次郎。」



そう言って潤んだ目で力強く見上げてきたランに、切ないくらいに胸を締め付けられた。


この先、何が起きてもきっと…
ランがそばに居てくれたら大丈夫。
絶対に。


そう、心の底から思えた瞬間、
力強くランを抱き締めていた。


思えば、俺の体が無意識に動いちまう瞬間は、
いつだってランを前にした時だった。



"関係がどうとかばっかり気にして、
一緒にいられる幸せを、見失うなよ。"


ふいに、ケンチンに言われた言葉が蘇った。




そっか。

俺はいつも、
1番大切なことを見失っていたのかもしれない。







第34章 ratioーFinー
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