第33章 realm
長い長い沈黙が流れた。
先に口を開いたのは三ツ谷だった。
「…俺はさマイキー、ずっとずっと、お前のことが羨ましかったんだぜ?」
目を丸くして顔を上げる万次郎に
三ツ谷は自嘲気味に口角を上げる。
「ていうか、今だって羨ましい。
だって昔っから…毎日ランと一緒にいられて、朝起きた時も寝る時も学校でも帰ってからも…ずっと一緒なんだぜ?」
三ツ谷は本気で寂しそうに笑っていた。
「いつどんなときも一緒にいられて…俺の知らねぇランのことたくさん知ってるマイキーに俺はいつも嫉妬してた。知らなかっただろ?」
"俺の気持ちは…知らねぇだろ"
あの時、三ツ谷ごボソッと呟いた途切れ途切れの言葉が一気に蘇った。
ハッと息を飲む万次郎だったが
徐々に眉をひそめた。
「でもね三ツ谷…好きな女が四六時中そばにいんの、けっこーキツイんだよ。考えたことなかっただろ?」
真顔になった三ツ谷がジッと万次郎の瞳を見つめた。
「……それを踏まえて言える。
やっぱり四六時中そばにいて、好きな女のことをずっと見ていられるのは羨ましい。そんな奇跡、滅多にねぇよ」
"関係がどうとかばっかり気にして、
一緒にいられる幸せを、見失うなよ。"
万次郎の中にその言葉が反芻した。
第33章 realmーFinー