第33章 realm
後日、三ツ谷は部活を休んで放課後ランに会いに来た。
そして言ったその言葉に、
ランは目を見張る。
「……は?」
「だからさ、
マイキーも悪気があったわけじゃねぇんだって。」
「何言ってんの?!なんでこっちが被害者なのに許さなきゃなんないの?!何も悪いことしてないのに!!」
突然大きな声を出すランに、
三ツ谷はビクッと怯んだ。
「学校でも変な噂ばっかされて…もうやだ!」
「ラン落ち着け」
「みんな私がレイプされたんじゃないかと思ってるんでしょ?!そうじゃなかったとしても、痴漢されたくらいでまだ引きづってこんなビクビクして…撃退すらもできなくて…そんな私ダメな奴でウザイってみんな思ってんでしょ!」
「ちょっと待て!冷静になれよ。
誰もンなこと思ってねぇよ」
「なんなの?!私が悪いの?!
私が今、どんな気持ちか知ってたのにあんなキスまでしてっ」
勢いに任せて言ってしまってからハッとなった。
鼓動がうるさく速度を増しているのが分かる。
恐る恐る三ツ谷を見ると、
三ツ谷は複雑そうな顔をしていた。
「…うん。そうだよな」
「え…?」
万次郎にキスされたこと…
知ってるの?
なんで……?
「なんで…なんで黙ってたの?」
「・・・」
「隆は…万次郎なら私が何されてもいいと思ってんの?」
「そうじゃねえよ。」
「じゃあ何?!なんで黙ってたの?!
私のことなんだと思ってんの?!」
「落ち着けってラン」
パシッ!
「触んないでよ!!」
伸ばした手を払われた三ツ谷は
傷ついたような顔をして目を見開いている。
それでも感情的になってしまっているランは、頭に血が上り息も上がっていた。
「隆は私が誰にどうされてもいいと思ってんだね…」
「んなわけねぇだろ!いいかげんにしろよ!」
突然の怒声にビクッとランが強ばる。
目からジワジワと涙が溢れてきた。