第33章 realm
「なぁ、ラン」
三ツ谷はランの手を掴むと、
再度プリクラ機の中へ引きづりこんだ。
「っ、わ、どどうし」
「俺のこと好き?」
「えっ?!」
「ホントにこの落書きみたいに思ってくれてる?」
三ツ谷の瞳がどこか切なげに揺れていて
それでも目と鼻の先で真剣に見つめられている感じがして鼓動がうるさくなった。
「うん…はは…ちょっと重かったかな?これ…」
ずっと一緒で一生大好きだなんて…
そう言って苦笑いする。
よく考えたら私って…
すごく恥ずかしいこと書いてる…
これなら隆が貼るのを躊躇するのも頷けるよね。
「いや…俺のが重いから」
そう呟いた三ツ谷にドクッと鼓動が跳ねる。
"オレのもの"
携帯に貼ったそのプリクラの言葉のほうが、自分の言葉よりも重いのだろうか。
"ハンパねぇだろ、俺の独占欲"
そう三ツ谷が切なげに呟いていたのを思い返した。
"本当の俺は…ランに対して独占欲と執着心と嫉妬心の塊みてぇな男だよ"
でも隆…
きっとその想いは…私の方が……
「なぁ、こっち見て…」
そう言われた瞬間、
"ラン…こっち向いて…"
そう言った時の万次郎がリフレインした。
恐る恐る三ツ谷を見上げると、
どこか妖艶なその瞳が細まった。
あまりの色っぽさに生唾をゴクリと飲み込んだ。
「…た…かし……っあ…!」
突然プリクラ機の上に押し倒される形になった。
かと思えば、荒っぽく唇を塞がれた。