第33章 realm
あと2日で万次郎の自宅謹慎は終わる。
今日ランは放課後三ツ谷と会う約束をしていた。
なんとなく部活には寄る気になれず、
三ツ谷の部活が終わって迎えに来てくれるまで近くのファミレスで勉強していた。
「お待たせっ!
悪ぃ、待ったよな!」
息を切らしてニコッと笑ういつも通りの三ツ谷が現れた。
「っあ、お疲れ様!
ううん!遅れてる授業取り戻すために猛勉強してたから全然大丈夫!」
こちらもいつも通りの笑顔を作る。
本当はほぼ全く勉強なんか集中できていなかった。
それに…
いつも通りの笑顔もいつも通りになってるかわからない。
上手く目も合わせられない…
気がする。
「ちゃんとここまでドラケンに送ってもらったか?」
「うん!」
ホッとしたように手前に座る三ツ谷。
真っ先に自分の心配をしてくれるどこまでも優しい三ツ谷になんとなく胸が痛くなった。
「隆は勉強のほうは大丈夫なの?」
「ん〜まぁぼちぼち?
一応授業中は寝てないぜ?」
「そっか。偉い偉い!」
かなり当たり前なことなのだが
東マンメンバーの中で寝ずに授業サボってないだけでもかなり凄いことだ。
「あ、別に仕舞わなくていいよ。
俺のことは気にせず勉強続けろよ」
広げていたノートなどを片付け始めると
そんなことを言われた。
「えっ、せっかく隆が来たのに、」
「別に俺、ランの顔見れればなんだっていいしさ」
「っ…」
なんでサラッとそんなこと言うかな…
ていうか…
隆にジッと見つめられてる中
勉強なんてできるわけないじゃん…
「そんな見られてたら…無理だよ」
「ん?なんで?」
「なっ、なんでって…」
チラと視線を上げると
三ツ谷はニヤニヤ笑っている。
「……もう。隆ってわりと意地悪だよね」
「そう?ランにはめちゃめちゃ優しくしてるつもりなんだけどな」
「………。」
いつもこうして私の反応を楽しんでる…。
そう思って顔が熱くなった。