第31章 reaction
タケミチは現代に戻ってから、
ランには何も言えずにいた。
あんな最悪な未来、
言えるわけがなかった。
誰にも言えない。
千冬以外には。
だからその代わり、
一体何が起こったのか、
いや、起ころうとしているのか、
しっかり見極め、そして
あの未来にはぜったいならないように
努力していく必要があった。
「マイキーくん…俺の手の中で死んだんだ。
まだ手にマイキーくんの感覚が残ってるんだ…」
「…きっつい未来だったんだな。」
大雨の中、千冬が俯いたまま呟いた。
「でもさ…俺は正直嬉しいよ」
「…え?」
「だってまた会えたじゃん。
ほらもう会えねぇと思ってたからさっ」
ニッコリ笑う千冬を見ながら、
タケミチの目に涙があふれる。
地面に大の字になりながら、
真っ黒な空を見上げ、雨とも涙とも分からない雫にただ顔を濡らしていた。