第24章 revere*
「なんで…これを…」
それは、もう二度と見ることも食べることも叶わないと思っていた、
あのどら焼き…。
場地がいつもくれた、
あのどら焼きだった。
「本当にタケミチがくれたの?」
「?そうだけど?」
「・・・」
ランは涙腺が緩みそうになるのを
グッとこらえた。
「……ありがとう。」
「えっ!そんなに嬉しい?!」
(1度落ちたやつなのに?笑
逆にこんなに喜ばれるとちょっと申し訳なくなるな…)
ランはそれを両手で持ちながら
ギュッと目を瞑った。
圭介……
ありがとう……
まだ私のこと、
気にかけてくれてるんだね…
情けないね私…
天国でも圭介を休ませてあげられないとか…
「頑張ろうな、ラン。」
ニッコリ笑って言う万次郎に
ランはハッとする。
"人生は七転び八起きだ。
立ち上がり続けりゃ勝つんだよ。"
そう言ってどら焼きを差し出す場地の姿が重なった。
「うん!頑張るよ」
私はたくさんの人に愛されている。
今ではそう、心の底から思えている。