第5章 refine
チラと横目で場地を見ると、初めて会った時とは比べ物にならないくらい、ずいぶんと大人びて感じた。
場地圭介は、幼なじみでもある。
ランが佐野家に来た頃、初めて会った佐野家以外の男が場地だった。
元々万次郎の幼なじみなのだ。
初めはもちろん、ランは場地にも敵意を剥き出しにしていたが、場地は見た目の顔つきとは裏腹に本当に優しかった。
怪我をすればすぐに近寄ってきた。
「触らないでっ!」
そう言って振り払ってしまったときも、
場地は笑っていた。
「大丈夫だよ。俺、女に手を上げる屑とは違うよ?」
そして、学校でも男子に絡まれていると、いつも万次郎と共に助けに来てくれた。
「大丈夫か?」
場地はそういう時も、決して憐れんだような表情をせずいつも優しげな笑みを浮かべていた。
「立てるな?七転び八起きだ!」
そう言っていつも手を差し伸べてくれた。
いつも無視するその手を初めて取ったのは、何度目のときだろうか…。
忘れてしまったけれど…
しかし、手を取ったその時の場地の心底嬉しそうな驚喜に満ちた顔は忘れられない。
しょっちゅう遊びに来ては、喧嘩の仕方をいろいろと教えてくれた。
今ではランの方が強くなってしまっているが、それはあの頃の場地のおかげでもある。
「人生は七転び八起きだ。
立ち上がり続けりゃ勝つんだよ」
いつもそう言って、手を差し伸べてくれた、彼の。