第17章 resolute
千冬と2人きりになり、
雨の中を歩いていく。
「ぶっ飛んでんな、お前。
空気読めねぇとか通り越してんわ」
千冬が苦笑い気味で傘から顔を出した。
「ですよね…俺もなんであんなことをマイキーくんに…」
「…なぁ、こういうのはどうだ?」
「え?」
千冬が手を差し伸べた。
「お前が東マンのトップになる協力してやるから、お前は俺のやりてぇことに協力しろ!」
「え?それって俺が東マンのトップになれるって思ってくれてるってことっすか?」
「1ミリも思ってない。」
「っ!やっぱり…!!
馬鹿にしてんすか?!」
「でも協力はする。」
傷だらけの顔で真っ直ぐと射抜かれる。
タケミチはそっと手を握った。
「わかりましたよ。俺も協力します!!」
「よろしく頼むぜ、相棒!!」
満面の笑みの千冬と、初めて力強い握手をかわした。
「ちなみに俺、お前とタメだから。
タメ口でいーよ。」
「え?!もっと早く言えよ!!」
「切り替えはえーな…」
この日から、2人はこの先同じ目的を持って突き進んでいく「相棒」になった。
稀咲のことを調べていくにつれ、
稀咲は自分の手を汚さずに人を殺す計画を立てたり、人の心を操るのに長けている人物なのだと分かる。
そもそもあの8.3抗争も全て稀咲が仕組んだことだったらしい。
ドラケンとランを殺し、東マンのNo.2に着きマイキーに近付くのを目的に。
「月は1人じゃ輝けない」
稀咲の口癖だったらしい。
タケミチは、自分も初めてマイキーたちに会った頃、マイキーとランを月と太陽に例えたことがあったと思いだした。
なんにせよ、稀咲は敵だ。
そしてトップ不在の謎多きチーム、首のない天使の異名を持つバルハラのトップは稀咲鉄太なのではないかという思惑に行き着いた。