第16章 rational
「なにそれ?!さっき場地にコクられたってこと?!」
「そうなのかラン?!」
「ち、違うよ…コクられては…ない…けど…」
「「けど?!」」
三ツ谷にも万次郎にも詰め寄られ、
ランは言葉に詰まる。
「コクられる以外に何されたんだよ」
今度は険しい顔になる三ツ谷。
「何かされたのか?ラン」
万次郎も眉間に皺を寄せて険しい表情をしている。
さすがに、場地に
犯すぞだの、どうにかしたくなるだの言われ、キスをされたことなどは言えない。
「・・・」
けれどその沈黙は、2人にはいろいろと察せられてしまったようだった。
「あいつ…ホント何考えてんだ…」
「俺だってしたことねぇのに…」
「は?」
「え?」
三ツ谷とランの言葉が重なった時、万次郎はおもむろに立ち上がった。
「もう俺帰る。
空気読める俺偉いな♡」
空気?読めてねぇだろ。
だいたい空気読めんなら初めから2人にさせろよ…という言葉を三ツ谷は飲み込む。
けれど、席を立った万次郎は突然振り返って声色を変えた。
「お前らはさ…どこにも行くなよ」
真顔なのにどこか切なげに瞳が揺れていた。