第15章 relent*
「ラン…ありがとな…」
少し潤んで見える三ツ谷の瞳が細まった。
どこか艶っぽいその表情にドキリとなる。
なにか話題を逸らしたいと思ってしまった。
「そういえば、ルナちゃんマナちゃん置いてきちゃったんでしょ?大丈夫なの?」
「あいつら幼稚園の友達と遊び行ってるよ?
今日は日曜だしな」
「あ、なるほど。」
「俺が作ったワンピースが気に入ってるみたいでさ、最近よく出掛けたがるんだよ」
「へぇー!ワンピースかぁ!
きっとあの子たち着たら可愛いんだろうなぁ。」
「お前にも作ってやるよ」
「えっホントに?!
でも私ワンピースなんて着たことないよ!」
いつも私服は短パンやスキニーパンツで、制服以外でスカートすら履いたこともなかった。
女の子らしさを助長する感じでなんとなく遠ざけていた。
「前にも言ったけど、俺はランには女の子らしくいてほしいから。それに、お前のワンピース姿見てぇし。」
「……うん…」
頭のスカーフといい、なんだか三ツ谷にはどんどん女にされていく気がして妙な羞恥心が湧いた。