第4章 receive
中学生になった。
ランはいつも万次郎やドラケンを始めとした不良グループとつるんでいたし、女子にちょっかい出したり虐めたりするような男子たちをいつも片っ端から1人で打ちのめしていたため、他校でも名の知れた存在になって恐れられていた。
"マイキーの女もヤバい奴だ"
そんな噂が広まっていたが、
別にランと万次郎は恋人同士ではない。
しかし万次郎に関しては、ランは俺の女だと豪語するため、いつものメンバーは二人の関係性が未だハッキリわからないでいた。
とりあえず、恋人同士ではないことだけはわかっている。
そんな折、今日も
また学校をサボって皆でバイクを走らせている。
ランはこういうとき、いつも三ツ谷の後ろに乗せてもらっている。
ランは三ツ谷に対し、密かに想いを寄せていた。
この世の男は全て敵だと思っているランが、三ツ谷に出会った時、三ツ谷に対してだけは敵意を剥き出しにしなかった。
こんなことは初めてだった。
それには理由がある。
三ツ谷は片親で、いつも一日中仕事で忙しい母親に家のことを任され、幼い妹2人を連れていた。
抱っこ紐で幼子をおんぶし、もう1人の妹とは手を繋ぎ、とても優しげな笑みを浮かべていた。
妹2人に対して宝物を愛でるような扱いと眼差しを向けていた。
元々タレ目がちな三ツ谷の優しい瞳と態度は今まで見てきたどの男よりも温かい包み込まれるような温度を感じた。
それが、ランが初めて出会った三ツ谷隆という一人の男の印象だった。
"俺は、家族を大事にする不良になる"
そう語っていた。
そのときからランは、三ツ谷に惹かれていた。
出会った瞬間から、1ミリも敵意が湧かない男なんて初めてだった。