第10章 return
ランは万次郎たちと別れたあと、
親友の柚葉の家へ行こうとしていた。
柚葉は三ツ谷の隊の副隊長 柴八戒の1つ上の姉つまりランと同い年であり、自分と同じように男勝りな女子なので親友並に仲がいいのだ。
三ツ谷のことなど相談しようかと思っていた。
しかし、柚葉にも八戒にも、なんのアポ無しに突然家に来るのはNG!と常日頃から言われている。
兄貴に会わせたくないらしい。
それには理由がある。
なので、お菓子か何かを買っていこうとコンビニに向かっているさなか、ひとまずは携帯を取り出し電話をかけようとした。
そのとき…
「おいおいおいおい東マンの姫じゃねぇかよ」
「月乃ランか。ウチのシマに何の用だ?」
顔を上げると、黒龍の九井一と乾青宗だった。
しかもよく見るとコンビニ前には
大量のバイクと共に、白い特攻服を着た何人もの黒龍隊員たちがいた。
「……マジか。」
(不運だなー。これって柚葉と八戒の兄貴が来てるってこと?てことは柚葉んち行けないじゃん…)
「ここらを他の族の奴が歩いてたら問答無用で殺せってボスに言われてんだけどさぁ〜。お前だけは許されてる。だからってあんま調子のってフラフラしてんなよ」
「それともようやくこっち来る気になったか?前にもボスに言われたろ?」
そう。これが、柚葉たちが兄貴に会わせたくない理由の1つ。
兄貴である柴大寿は黒龍の十代目総長であり、黒龍にランを欲しがっているのだ。