第9章 resolve
「ラン。ちょっと来い」
集会の後、呼んできたのは壱番隊隊長の場地だった。
ポウと街灯の灯った場所にランを立たせると、
「は……やっぱり…」
そう言ってランの顎を乱暴に掴み、唇に親指を滑らせた。
「お前、いい加減そのクセどうにかしろ」
ランの唇が切れていることを見抜いていた。
場地は、幼い頃からランを知っているから、悔しいことややるせない事があると、そうやって唇を噛むのを何度も見てきたのだ。
「ん…ごめん」
目を逸らして口に手を当てた。
「お前さっき、三ツ谷にキスされてたろ?」
「っ?!」
目を見開いて場地を見上げると、冷ややかな目でランの唇を見下ろしている。
そうだ…私って三ツ谷くんにキス…
されてたんだった…
現実味が無さすぎてよく分かんなくって…
頭から離れてた…
考えてみたら、いくら一瞬の出来事とは言え、こうして誰かに見られていたんだとしてもおかしくない…
圭介…見てたんだ…!
どうしよう…
とランは冷や汗を流す。