第9章 名も知らない君と(セト)
「初対面なのにごめんなさい。…貴方面白いね」
『お、面白い……ですか?……』
「ああ……ごめんね。バカにしてるわけじゃないのよ?ただ……不思議な能力を持ってるのかなって」
咄嗟に目を手で覆う。見られたのかな赤い瞳を。
「綺麗な目をしている。心が綺麗なんだね」
初めてだ…自分をほめてくれる人は。
手をおろし上を見上げる。
そこには優しく微笑んでる君が見えた。
「よかったら…私とお話しましょ?」
ここは彼女の家の庭らしい。
彼女はその奥にある屋敷に1人で住んでいて毎日ここの庭で動物たちと遊んで楽しく暮らしているみたい。
今日も庭で遊んでいたら僕が来て嬉しくて話しかけたんだって。
『…す、すみませんこんな時間までおしゃべりして…』
辺りを見渡せば薄暗くなってきた。
孤児院に帰らなければならない。
だけど…僕の居場所がないから…帰んなくても心配はされないだろうけど。
「幸助君がよければ泊まる?」
彼女の優しさに甘えることにした。
『うわーとても広いです…』
家の周りを大きな塀が囲ってて中に入ればとても広くて長い廊下が続いてる。
こんなに広い家だと一人じゃ寂しいと思う。
どうして彼女はこんなに広いお家で住んでいるのだろうか?…もしかして僕と一緒で天涯孤独なのだろうか?
だったら…助けてあげたい。一緒にいたい…そう強く思いはじめました。
『あ…あの…よかったら…僕と友達になってくれませんか!!』
勇気をもって話しかけたのに…気合が入りすぎたようだ。
さっきまで笑っていた彼女が僕の大きな声に驚いて固まってしまっている。
『す、すみませんっ!驚かすつもりはなくて…その…僕も1人ぼっち…』
最後の言葉を、僕の唇に
彼女の人差し指が当てがい、遮った。
彼女の顔を見ればとても綺麗に微笑んで…だけどどこか寂しそうな顔をしてる
「幸助君は1人ぼっちじゃないよ。
今は辛くてもきっと…たくさんのお友達が出来るよ」
そう言うと同時に視界が暗くなっていく。
まって…行かないで