第55章 その手をもう一度
白目をスライスチーズ、黒目を海苔で作ったたこさんを、信長様が口をへの字にして見ていたのを忘れられそうにない。
龍輝が美味しいと食べているのを見て、信長様は戸惑いがちに口に入れ……あとは、うんうんと小さく頷いて食べていた。
信長様とたこさんウインナーのミスマッチな組合せがなんとも微笑ましかった。
ブロッコリーの形状や、付け合わせにいれたナポリタンの赤さにも驚いていた。
信長「初めて食すものばかりだったが、どれも味わったことのない食感と味がした」
「気に入って下さって良かったです。
今日と同じ料理を作るには材料が手に入らないので無理ですが、明日の朝食にはパンを食べます。中にいろいろ入っているので楽しみにしていてくださいね。」
(念のためにお弁当と菓子パンを用意しておいて正解だったな)
同じお弁当と菓子パンを持たせた謙信様を思い、切なくなった。
(どこかで食べてくれたかな…)
そうしているうちに夜はすっかり深まっていった。
長い一日を乗り越え、私達はそれぞれ眠りについた。