• テキストサイズ

☆一夜の夢☆〈イケメン戦国 上杉謙信〉

第55章 その手をもう一度



龍輝「ママ、ここどこ?熱い…」

「…!そうだね、ママも熱い。早く逃げなきゃ」


不安そうにしている龍輝を見下ろし、頭を撫でてあげる。
抱っこ紐から無防備に出ている龍輝の足を両手で庇う。


「龍輝、なるべくママの胸に顔を押し付けておいて。
 煙を吸い込んじゃうから大きく息を吸っちゃ駄目よ」

龍輝「う、うん」


(逃げなきゃ、逃げ道は……)


熱で揺らめく向こうを見ると、炎がメラメラと勢いよく上がっていて逃げ道はなさそうだ。

戸も柱も天井も轟轟と音をたてて燃えている。

天井が崩れたところから夜空が見え、外は夜なのだと知った。


(夜空が炎でオレンジ色に染まってる……)


炎の勢いに足がすくみ、喉がゴクリと鳴った。
息を吸い込むと鼻の奥が焼けそうに熱く、痛かった。


(冷静に考えなきゃ)


抱いている大切な命を守るために、混乱している頭を働かせる。



ゴロゴロゴロゴロ……



頭上で音がしてもう一度空を見ると、黒い雨雲が見えた。


(ワームホールがまだ発生したままだ!)


「お願い、謙信様の元へっ!お願いっ!」


空に向かって手を上げる。
本当にワームホールを呼び寄せる力があるのなら、今こそ使う時だ。

その時、背後で激しい咳が聞こえた。


(こんな所に人が居るの!?)


びっくりして振り返ると男の人が二人倒れていた。

一人は見たことがない可愛い顔立ちの男の人で、頭から血を流して意識を失くしているようだった。



もう一人は知っている人によく似ていて、床に倒れたまま酷く咳き込んでいる……。


/ 1735ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp