第54章 佐助の不安
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北側に低い山々が見え始め、小高くなっている場所で足をとめた。
佐助「草木が大分増えてきたな。しかし本当にここは広大な土地だ」
ぐるり見回しても人工物は一切なく、手つかずの大地がどこまでも広がっている。
足を進めていくうちに段々とジメジメした土に足をとられるようになった。
佐助「……この辺は雨が降ったのか?」
しかし土は水気を含んでいるが草木の葉は濡れていない。
気をつけてみれば水気を好む植物が多い。
佐助「もしかして……」
足を止めると足元の草の下で、泥がぐちゅりと音をたてた。
胸元に入れておいた日本地図を開いた。
念のためにと佐助が現代から持ってきておいたものだ。
現在位置と思わしき場所に指を置き、今まで見た景色に当てはまる場所がないか地図上を探していく。
佐助「あそこに見える山がこれだとすると、川がこれで…謙信様達が居る湖はここか。
よし大体場所は把握できた。人里があるとすれば向こうだな」
佐助は進路を南に定めた。
湿地帯を進みながら佐助はぽつりと呟いた。
佐助「あとは今が『いつ』かだ」